日銀決定会合、景気判断を上方修正 企業支援、解除なお議論

 日銀は14日の金融政策決定会合で、景気認識について「持ち直しつつある」との判断を示し、9月の前回会合の「持ち直しに転じつつある」から2カ月連続で前向きに表現を変えた。政策金利は現状の0.1%前後に据え置くことを全員一致で決定。景気持ち直しの動きを確かなものにするため、下振れリスクを意識した緩和的な金融政策運営を続けることで一致した。危機対応策として導入したコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い取りなどの企業金融支援策については年末の打ち切りを議論したもようだが、最終判断は次回以降に持ち越した。
 景気判断については、輸出や生産が増加しており、今年度後半以降に経済が持ち直すという日銀の想定に沿った動きが続いていることを確認。ただ海外の金融経済情勢や企業の中長期的な成長期待の変化など、景気下振れリスクも引き続き大きいとみている。
 昨年秋以降に導入した企業金融支援策が年末に期限を迎えるため、一連の措置の存廃についても議論したもようだ。 (14:32)

9月のマンション発売戸数、25カ月ぶりプラス 不動産経済研究所

 不動産経済研究所(東京・新宿)が14日発表した9月のマンション市場動向によると、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新規発売戸数が25カ月ぶりに前年同月を上回った。
 大手不動産会社が順調に新規物件を供給していることに加え、中堅デベロッパーの間でも販売を再開する動きが広がったとみられる。
 首都圏の9月の新規発売戸数は前年同月比26.2%増の3063戸。前年同月割れは2007年9月から続いていたが、プラスに転じた。販売在庫は前月末から197戸減って6840戸となり、9カ月連続で減少。契約率も前年同月比13.8ポイント上昇して73.9%となった。 (14:04)

景気「持ち直しつつある」 日銀、企業支援の解除見送り

 日銀は14日の金融政策決定会合で、景気の現状判断を「持ち直しつつある」とし、前回9月の「持ち直しに転じつつある」から判断をやや前進させた。焦点だったコマーシャルペーパー(CP)や社債を買い取る措置などの存廃については、具体的な議論には入ったもようだが、結論は見送った。政策金利の誘導目標は、現行の0.1%前後に据え置くことを全会一致で決めた。 (13:19)

2次補正規模、3兆円超に 亀井金融相

 亀井静香郵政・金融担当相は14日午前、2009年度第2次補正予算について「(補正予算の執行停止で確保を目指す3兆円では)足りない。内需について努力しなければいけない。民間任せでも出るわけではない」と述べ、3兆円を超える大型の追加経済対策の実施が必要との認識を示した。
 財源に関しては「特別会計は宝の山。思い切って切れば20兆円ぐらいすぐ出てくる、一番の目の付け所だ」と指摘。その上で「場合によっては赤字国債も出していくべきだと思う。目先のことを躊躇(ちゅうちょ)して経済が落ち込んでいってしまう」と、税収減で財源が足りない場合は国債発行で賄うべきだとの考えも示した。
 これに対して平野博文官房長官は記者会見で「景気が悪くなるのではないかとの認識での発言だろう。亀井氏が言う『手当て』をしないでもいいように願っているが、そういう場面が来るかも分からない」と語った。 (12:55)

中国、輸出の減少幅が縮小 9月、輸入も回復

 中国税関総署は14日、9月の輸出が前年同月比15.2%減の1159億3800万ドル(約10兆4000億円)になったと発表した。11カ月連続のマイナスだが、減少率は8月の23.4%より大幅に縮小した。輸出の先行指標とされる輸入も持ち直し、緩やかな回復基調を強める中国経済にとって最大の懸念要因である輸出の先行きに明るい兆しが出始めた。
 9月の輸入は3.5%減の1030億600万ドル。輸出と同様に11カ月連続のマイナスだが、減少幅は8月の17.0%に比べ大幅に縮小した。国内生産の回復や自動車販売の好調を背景に部品や原材料の輸入が増えている。
 中国では輸入が輸出の先行指標とみられる場合が多い。部品や原材料を輸入し、それを組み立てて欧米に輸出する加工貿易が主体のためだ。欧米経済は底打ちしたとの見方が出ており、中国沿海部の一部輸出企業ではクリスマス商戦に絡む欧米からの受注が増えている。(北京=高橋哲史) (12:48)

教員免許更新制、2011年度から廃止へ 文科省方針

 文部科学省は14日、教員の指導力向上のため10年に1度大学などで講習を受けることを義務付けた教員免許更新制を2011年度から廃止する方針を固めた。これに合わせ、四年制大学卒で教員免許を与えていた養成課程を大学院2年を加えた6年間に延長し、教員の質を確保する。
 今春始まった教員免許更新制をめぐっては、教育現場から「効果があるか不透明」「教員の負担が増す」との批判があり、民主党マニフェスト政権公約)で制度を抜本的に見直す方針を掲げていた。
 文科省は今後、現行制度下で教員が講習を受講しなくても免許が失効しないよう11年1月の通常国会で関係法令を整備する方針。 (11:44)

戸別所得補償、10年度からコメで先行実施 農水省方針

 農林水産省は14日、民主党衆院選マニフェスト政権公約)で2011年度からの本格実施を打ち出していた農家への戸別所得補償制度について、コメに限って前倒しし、10年度に全国一律で先行実施する方針を固めた。来夏の参院選に向けて農政の転換をアピールする狙い。15日にまとめる来年度予算の概算要求で関連予算として数千億円を計上する。
 同制度は農産物や畜産物などの販売価格が生産費を下回った場合に差額を補てんする仕組みで、農家の経営安定が目的。民主党マニフェストに10年度のモデル事業実施を盛り込んでおり、対象品目や規模を巡り調整を続けてきた。
 麦など他の作物の所得補償については10年度は調査費のみを計上。コメでの先行実施の成果を踏まえ、11年度から実施する。同年度での予算規模は1兆円超に膨らむ見通しだ。 (11:29)

原口総務相、子育て応援手当「廃止」に難色 厚労相と会談

 長妻昭厚生労働相は14日午前、総務省原口一博総務相と会談し、2009年度補正予算の見直しを巡り、3〜5歳の子どもに1人当たり3万 6000円を支給する「子育て応援特別手当」を廃止したいとの考えを伝えた。総務相地方自治体ですでに支給を前提とした準備が進んでいることなどから「廃止は難しい」との認識を示した。
 厚労省補正予算の見直しですでに5213億円の執行停止を決めたが、さらに上積みを迫られており、廃止に向け総務省との調整を続ける。 (10:45)

エコポイント続く? 「省庁横断予算」案も

 環境配慮型の商品の購入を促すエコポイントやエコカー補助金を2010年度以降も続けるかをめぐり、関係省庁の意見が割れている。経済産業、総務両省は15日に提出する10年度予算の概算要求に延長を盛り込まない方針。一方、環境省は対象商品の拡充も視野に継続を望む。景気への影響などもにらみつつ、第2次補正予算や省庁の垣根を越えた予算の特別枠に入れる考えも浮上している。
 制度を続けるかどうかについて、直嶋正行経産相は13日の閣議後の記者会見で「来年度以降も続けるか判断するのはまだ早い」と語った。一方、小沢鋭仁環境相はエコポイントについて「他省庁がやらなくてもやりたい」との積極姿勢だ。対象商品をテレビ、エアコン、冷蔵庫以外の家電にも広げることも検討したいという。 (09:20)

9月の企業物価、7.9%低下 低下率やや縮小

 日銀が14日発表した9月の企業物価指数(2005年=100、速報値)は103.0と、前年同月比で7.9%低下した。低下率は1960年の統計開始以降、過去最大だった8月(8.5%低下)から小幅ながら縮小し、低下に転じた1月以来で初めて縮小した。 (08:59)

「羽田ハブ化」へ急旋回 国交相が意向、国際競争力にらむ

 前原誠司国土交通相羽田空港の国際化を本格的に進め航空網の拠点である「ハブ空港」にする方針を表明した。国交省は国際線中心の成田空港に配慮しつつ羽田を国際化してきたが、国交相が「成田・羽田の国際・国内の分離を取っ払う」と踏み込んだため波紋を広げている。羽田国際化には利便性や国際競争力の向上などメリットが大きい半面、実現には地方自治体との調整などハードルも多い。
 羽田は国内、成田は国際とのすみ分けは1978年の成田開港から続いてきた。2001年以降、ソウルなどアジアにチャーター便が飛ぶが、いまだに羽田の旅客の9割以上を国内が占める。 (07:31)

新型インフル、入試実施に難問 私大「追試できぬ」

 入試シーズン本番を控え、大学や中学・高校が流行拡大が懸念される新型インフルエンザへの対応に苦慮している。文部科学省は大量の欠席者が出る事態に備えセンター試験の追試日程を遅らせることなどを決めたが、追試を行っていない私大などは会場確保や問題作成がネックに。感染した児童・生徒が受験する可能性もあり「流行が広がったらどうすればいいか……」と頭を抱えている。
 「何らかの対応は検討はしたいが、追試験という形は難しい」。全国から毎年約12万人の受験生が集まり12日間にわたって入試を行う早稲田大の担当者は頭を抱える。新型インフルエンザは季節性に比べて感染力が強く、10代以下で感染が拡大している。このため試験日前後に大流行していると、欠席者が大量になる恐れもある。 (07:00)

百貨店のお歳暮商戦、14日一斉スタート 個人客に的

 大手百貨店各社のお歳暮ギフト商戦が14日、一斉に始まる。三越伊勢丹ホールディングス傘下の三越高島屋、J・フロントリテイリング傘下の大丸と松坂屋が、利用者が増えているインターネットでいち早く受注を競う。商品面では企業向け需要の低迷を補うため、個人向け商品や低価格品を拡充する。
 三越のネット受注初日は昨年と同じだが、洋菓子などネット専売の限定商品を前年比25%増やすなどで、ネット売上高を6%伸ばす計画だ。有名な和菓子店や料亭と組んだ食品など歳暮総数の約3割(500点)に上る独自商品を売り込む。店頭受注は10月30日から順次始め、日本橋本店(東京・中央)は11月3日に売り場を作る。 (07:00)

麻生政権の「子育て応援手当」、補正見直しで廃止へ

 鳩山由紀夫首相が指示した2009年度補正予算(総額14.7兆円)の削減を巡り、政府の行政刷新会議は13日も各省との折衝を続けた。先月18 日に見直し方針を決めてから間もなく1カ月、削減目標は3兆円超。新たな政策実現のための財源づくりは、16日の閣議決定に向けて大詰めだ。厚生労働省は 13日、3〜5歳の子どもに1人当たり3万6000円を支給する「子育て応援特別手当」を廃止する検討に入った。総額は1254億円で、補正予算の見直し対象に加える。
 同手当は麻生前政権が09年度補正予算に計上したもの。09年度の対象者は約330万人。1人につき1回限りの支給で、支給時期は自治体が独自に定める仕組みだ。厚労省は補正見直しで5213億円の執行停止を決めているが、さらなる上積みを迫られていた。前政権色が強い同手当をやめ、民主党の目玉政策である「子ども手当」などに財源を振り向ける。 (07:00)

日航債務3000億円免除 再生チーム素案、債務超過と判断

 日本航空の経営再建を巡り、前原誠司国土交通相直轄の専門家チーム「JAL再生タスクフォース」は13日、再建に向けた素案をまとめ国交相日航、金融機関にそれぞれ説明した。金融機関に対し債権放棄と債務の株式化(DES)で計3000億円規模の支援を要請。日航は1500億円の資本増強や年金支給額の半減、西松遥社長の退陣などが必要とした。素案をもとに金融機関などと交渉し、10月末に計画案、11月末をメドに最終的な再建計画を策定する。
 再生チームは日航が少なくとも2500億円の債務超過に陥っていると指摘。素案では(1)債権放棄やDESによる金融支援 (2)1500億円の資本増強を含む最大4800億円の新規資金調達(3)約3300億円の年金積み立て不足の1000億円への圧縮――などを盛り込んだ。私的整理手法の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決)の活用方針も打ち出した。 (06:00)

仏政府、大企業に自殺防止の緊急対策導入を要請

 フランス政府はこのほど国内の大企業に対し、職場環境に起因する心の病や自殺を防ぐための緊急対策を導入することを要請した。専門医による定期的な診断など予防策の導入について来年2月までに企業と組合の間で合意することを求めた。大企業に勤務する社員の自殺が相次ぎ、社会問題になっていることに対応した。
 通信最大手フランステレコムでは、過去20カ月の間に少なくとも24人が自殺。多くは職場のストレスが要因とされ、環境改善を求めるストが実施された。自動車ルノーでも自殺者の増加が深刻になっているという。仏政府は中小企業にも公的機関などを活用して対策をとることを求めた。(パリ=古谷茂久) (01:35)

北朝鮮、米朝平和協定を改めて要求

19時2分
 【ソウル=牧野愛博】北朝鮮朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は14日付の論評で「朝鮮半島の核問題を解決しようとするなら、朝米間に平和協定を締結しなければならない」と主張した。朝鮮中央通信が伝えた。金正日キム・ジョンイル)総書記が今月5日に中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相との会談で述べた主張を繰り返し、米朝協議を重視する姿勢を改めて示した。6者協議には触れていない。
 一方、朝鮮中央通信によれば、北朝鮮の朴宜春(パク・ウィチュン)外相は14日、訪朝している米国のフランクリン・グラハム牧師と平壌で面会した。同牧師の父は、故・金日成(キム・イルソン)国家主席と会談したことがあるビリー・グラハム牧師。

中国、資産10億ドル以上の富豪急増 今年は130人

18時54分
 【上海=奥寺淳】5年前は3人だけだった資産10億ドル(約900億円)以上の富豪が今年は130人に――。中国の民間調査機関「胡潤百富」が13日発表した中国の富豪ランキング1000で、こんな結果が出た。金融危機でしぼむ世界経済を尻目に、中国の富は膨らみ続けている。
 1位は、自動車や燃料電池などを製造するBYD総裁の王伝福氏(43)の51億ドル。95年に電池メーカーとして創業し、自社のリチウムイオン電池を載せた電気自動車などを開発。米国の投資家ウォーレン・バフェット氏が昨年、約10%の株主になって株価が上昇。BYD株の27.8%を持つ王氏は、昨年の103位からトップに上り詰めた。
 2位は女性起業家で、製紙リサイクル会社会長の張茵氏(52)の49億ドル。輸出製品を包む段ボールをつくっている。金融危機後は一時、中国の輸出企業が打撃を受け、株価下落で資産が目減りしたが、中国の景気回復期待の高まりとともに盛り返した。
 資産は、個人が経営する会社の株式時価総額などをもとに胡潤が試算した。ランキングに入った1千人のうち94人が40歳以下の若手で、上位10人のうち7人の顔ぶれが昨年から入れ替わった。

現役公務員、独法役員へ出向急増 一部は天下り隠しか 

 退職した国家公務員の天下りポストと指摘される独立行政法人(独法)の役員に、現役のまま出向している官僚がここ1年で急増し、今月1日時点で過去最多の102人いることが14日、各独法への取材で分かった。出向期間を終えて出身官庁に戻り即日辞職するケースもあり、一部では天下り批判を避けて実態を隠すため、あえて官庁を退職させずに出向に切り替えた可能性もある。
 鳩山政権は独法の役員への天下りは認めず、天下り役員のポストを公募で埋める方針を打ち出しているが、出向の場合は公募を実施する必要もなく「抜け道」との批判も起きそうだ。
 政府の行政改革推進本部などによると、独法役員への出向者数は、2003年10月は9人だけだったが、翌04年に38人、05年には81人に急増。昨年は85人だった。全98法人に取材したところ、ことし10月時点では、さらに増え初めて100人を超えた。計60法人に、11府省庁から出向。最多は農林水産省の25人だった。
 実際に出向者が出身官庁に戻って官僚として新たなポストに就くことも多い。ただ、各官庁ともキャリア官僚の勧奨退職年齢引き上げを目指しているため、従来は天下りポストだった独法の役員の一部を出向ポストに切り替えたとみられる。
16:56

日本近海、酸性化進む CO2溶け込み生態系に影響も

15時10分
 海の生態系や漁業に将来、深刻な影響を与えると懸念されている「海洋酸性化」が、日本の近海でも進行していることが、気象庁の観測船を使った26年間の海水観測データで分かった。酸性化はハワイ沖やバミューダ諸島沖でも確認されているが、研究チームは「20年を超す連続観測で酸性化が加速しつつあることが裏付けられた」としている。
 海洋酸性化は、大気中の二酸化炭素(CO2)が溶け込み、海水の化学的なバランスが崩れて、酸性度が増す現象。海水はもともと弱アルカリ性のため、酸性度が増すと、より中性に近づく。酸性化の進み方は海域によって異なり、南極海などで最初に生態系に大きな影響が現れると予測されている。
 観測データを解析したのは、緑川貴・気象研究所地球化学研究部第2研究室長(海洋化学)、濱健夫・筑波大教授(生物地球化学)らの研究チーム。気象庁の海洋気象観測船が毎年行っている定期観測のうち、83年から08年までの海水(海表面)の化学データを使って、酸性度を表すpH値(水素イオン濃度指数)の変化を算出した。
 その結果、紀伊半島沖の北緯30度では、過去26年間に表面海水のpHが約0.04低下していることが分かった。観測は北緯34度から北緯3度にかけて連続的に行っているもので、赤道近くの海域でも同様にpHの低下がみられた。
 今回のデータは、ハワイ沖やバミューダ諸島沖とほぼ同レベルの変化で、産業革命以降の約200年におけるpHの低下が推定0.1とされるのに対して、この四半世紀にpH低下のペースが速まっていることが裏付けられた。
 研究チームは、この日本近海での観測データをもとに将来予測も行った。「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」がまとめた大気中のCO2レベルの増加予測と組み合わせ、日本近海で今後、酸性化がどう進行するかをシミュレーションした。
現在の海水はpHの値が約8.1だが、CO2排出量が中程度で推移してゆくシナリオの場合、今世紀末には今よりpHが0.2低下して7.9程度に、最悪のシナリオでは今より0.4低下して7.7にまで酸性化が進むことが分かった。
 海水のCO2濃度を調節する装置を使って人工的に酸性化させた海水で生物を飼育する実験では、今世紀末の海水では食用のウニや巻き貝などの成長率が2〜4割落ちるといったデータがある。
 研究チームは「海水のpHの低下が日本近海でも加速しつつあることが確認できた。いますぐに生物に影響が出るレベルではないが、100年後には日本の沿岸にすむ生物に何らかの影響が出ることになるだろう」としている。
 〈海洋の酸性化〉 大気中のCO2が増えると海水のCO2濃度も上昇し、その影響で海水のpHの値が低下する。現在の海水はpHが約8.1の弱アルカリ性だが、酸性化が進むとpHの値が7(中性)に近づく。将来、貝類やサンゴなどの生物は殻や骨格を作りにくくなる恐れがある。人類が大気中に放出するCO2の3割は海が吸収するとされ、世界の150人を超す科学者は今年1月、海洋酸性化に伴う生態系の破壊を警告する宣言を発表した。(山本智之)

教育実習1年・大学院2年必修を検討 教員養成で文科省

15時11分
 教員養成をめぐり、文部科学省の政務三役は、大学の学部4年間だけでなく大学院の2年間も必修とし、修士号を免許取得の条件とする「教員養成課程6年制」を導入する方向で検討を始めた。現在は2〜4週間の教育実習についても1年間に延ばす考えで、子どもと向き合う経験を増やし、よりていねいに教員を養成する方針だ。
 文科省の政務三役は、10年に1度、現役教員に大学などで講習を受けることを義務づける教員免許更新制を10年度限りで廃止する方針を固めており、教員養成の6年制化はそれに代わる教員の質向上の手だてと位置づけている。
 民主党の総選挙のマニフェストにも盛り込まれており、大学院修了後、最初に取得する一般免許状のほか、8年以上の実務経験を積んでから取得できる専門免許状を設けることも想定している。文科省は、現在の教員免許更新制で講習を受けた教員の受講分について、将来専門免許状を取る際の単位に振り替えられるようにすることも検討する。
 ただ、6年制の実現に向けては、大学院側の受け入れ態勢が整うか、1年間にわたる教育実習の受け入れ先が確保できるかという問題があり、相当の準備期間が必要になるとみられる。(青池学)

新型インフル感染、都内の4歳男児死亡 最年少

13時43分
 東京都は14日、新型インフルエンザに感染した都内在住の男児(4)が13日に死亡したと発表した。厚生労働省によると、新型インフルエンザに感染したり、感染が疑われたりした患者の死亡例は24人目で、4歳は最年少という。
 都によると、男児は4日に約40度の高熱を出した後、5日に入院。6日から人工呼吸器を装着していた。急性脳炎も発症していたという。

反貧困ネットワークの湯浅氏、国家戦略室の参与に起用へ

12時52分
 菅直人副総理兼国家戦略担当相は14日、国家戦略室の政策参与として、「反貧困ネットワーク」事務局長の湯浅誠氏(40)を起用する方針を固めた。湯浅氏は昨年末に東京・日比谷公園にできた「年越し派遣村」で村長を務めるなど、貧困対策に取り組んできた。現場からの意見を踏まえた失業者・貧困対策面での政策提言が期待されている。
 政策参与は非常勤で専門知識を生かして助言する。湯浅氏は同日、朝日新聞の取材に対し、「現場は昨年よりもひどい状況だ。再び派遣村を実施しなくてもすむよう、年末まで精いっぱいつとめたい」と述べた。

地方空港の整備費削減を検討 国交省、着陸料引き下げ原資に

 国土交通省が、2010年度予算の概算要求で地方空港の整備費などを削減し、国が管理する空港の着陸料引き下げの原資にする案を検討していることが14日、分かった。航空会社の負担軽減を拡大し、地方と首都圏を結ぶ航空路線などの維持を図るのが狙い。
 具体的には、空港整備の特別会計から新石垣空港沖縄県石垣市)の滑走路移設・延長事業や、既存空港の滑走路・誘導路の改修費などを盛り込んだ整備費を削減する方向。
 国交省は概算要求で空港、道路など各費目ごとに原則10%以上を削減する方針を打ち出しているが、地方空港の整備費削減には地元自治体から反発も出そうだ。
 国交省は8月にいったん提出した概算要求で、空港の維持管理費や整備事業費など5183億円を計上した。前原誠司国交相がハブ(拠点)空港化を目指すと表明した羽田空港の関連予算については、4本目の滑走路を新設する工事費など1042億円は削減せず、当初の要求通りとする方針を固めた。
 ただ羽田空港のエプロン(駐機場所)の整備事業費など1278億円は削減する方向で検討。関西空港の補給金として計上していた160億円については、本年度からの増額分70億円を見直す。
 国交省は7月以降、不況で経営が悪化した航空各社を支援するため、地方路線で着陸料の割引を実施しており、来年度も継続する見込み。
 前原国交相はこれまで、空港整備の特別会計があることで「ともすれば採算の合わない空港が造られてきた」などと述べ、現行の空港関連予算制度を見直す方針を示していた。
12:49

山手線命名100年 企画続々、特別パスやスイカラリー

11時59分
 東京都心をぐるりと一周する「山手線」が命名100周年を迎えた。1周34.5キロを約1時間で結び、1日数百万人が利用する「首都の足」だ。14日は1872(明治5)年に新橋―横浜間で日本初の鉄道が開業した「鉄道の日」。JR東日本では、大規模なキャンペーンを進めている。
 JR東によると、100周年記念キャンペーンのコンセプトは「明るく」「楽しく」「きれいに」。田辺滋・東京支社長は「山手線は収入の基幹。これまで利用していただいたお客さまへの感謝の気持ちを込めたい」と意気込む。
 「明るく」では、駅構内の広告サインボードすべての照明を終電まで点灯する。山手線29駅の広告サインボードは約2800面あるが、空きのスペースはこれまで午後11時で消灯していた。だが、長引く経済不況で空き割合は07年度の9.6%から13.3%に拡大。利用客から「駅が暗い」との声が寄せられていたという。
 また、青色LED(発光ダイオード)照明も今月中をめどに全駅のホームで設置を完了させる。広告サインボードも青色LED照明も、駅を明るくすることで安全性を向上させるとともに、3年で1.6倍に増えた同線での自殺防止策としても期待している。
 「楽しく」では、10月の土、日、祝日に利用できる「山手線パス」(大人480円、小児100円)が販売中。有効期間は1日。山手線内のJR線であれば乗り降り自由。また、コンビニエンスストアニューデイズ」や弁当屋など駅構内のテナントが「100」にちなんだ各種割引を実施中だ。
 9月から1編成が走行中の「復刻調ラッピング電車」は12月4日まで運行。同社の非接触IC「Suica(スイカ)」を使って5駅を回ると記念品が抽選で当たる「タッチラリー」も今月いっぱい開催する。
 「きれいに」では、駅や線路上に捨てられたゴミの清掃を、駅員やテナント店員らで重点的に実施している。(小林誠一)
 〈山手線〉 1909(明治42)年10月12日、当時の鉄道院(国土交通省の前身)が品川線(品川―新宿―赤羽間)、豊島線(池袋―田端間)、貨物支線(大崎―大井連絡所)を合わせて命名した。
 25年に上野―秋葉原―東京間の高架橋が完成して環状運転を開始。戦前から半世紀以上にわたって焦げ茶色だった車体の色は、63年からシンボルカラーがウグイス色に決まった。「やまてせん」と混在していた読みは71年、「やまのてせん」に統一された。
 現在は午前4時半ごろに池袋駅と大崎駅から1番電車が出発。両駅で深夜1時過ぎに終電を迎える。通勤・通学ラッシュ時には2分30秒間隔で運転する。踏切は駒込―田端間の1カ所だけ。駅の広告料金は、新宿、渋谷の両駅が東京駅を上回って最高ランクだ。

Nobel Jury Speaks out in Defense of Obama Prize

One judge noted with surprise that President Barack Obama "didn't look particularly happy" at being named the Nobel Peace Prize laureate. Another marveled at how critics could be so patronizing.
In a rare public defense of a process normally shrouded in secrecy, four of the Nobel jury's five judges spoke out Tuesday about a selection they said was both merited and unanimous.
To those who say a Nobel is too much too soon in Obama's young presidency, "We simply disagree ... He got the prize for what he has done," committee chairman Thorbjorn Jagland told The Associated Press by telephone from Strasbourg, France, where he was attending meetings of the Council of Europe.
Jagland singled out Obama's efforts to heal the divide between the West and the Muslim world and scale down a Bush-era proposal for an anti-missile shield in Europe.
"All these things have contributed to ― I wouldn't say a safer world ― but a world with less tension," he said.
For nine-year Nobel committee veteran Inger-Marie Ytterhorn, Obama's demeanor spoke volumes when he first acknowledged the award during a news conference Friday on the lawn of the White House Rose Garden.
"I looked at his face when he was on TV and confirmed that he would receive the prize and would come to Norway, and he didn't look particularly happy," she told the AP by telephone.
"Obama has a lot of problems internally in the United States and they seem to be increasing. Unemployment, health care reform: They are a problem for him," she said.
She acknowledged there was a risk the prize might backfire on Obama by raising expectations even higher and giving ammunition to his critics. "It might hamper him," Ytterhorn said, because it could distract from domestic issues.
Still, she added: "Whenever we award the peace prize, there is normally a big debate about it" so the Obama controversy was not unexpected.
It was unusual, however, for the Nobel jury to speak out so candidly about their selection.
Even the most seasoned Nobel watchers were surprised by Obama's Nobel ― they hadn't expected the U.S. president, who took office barely two weeks before the Feb. 1 nomination deadline, to be seriously considered until at least next year.
Jagland said that was never an issue for the Nobel committee, which followed the guidelines set forth by Alfred Nobel, the Swedish industrialist and inventor of dynamite who established the prize in his 1895 will.
"Alfred Nobel wrote that the prize should go to the person who has contributed most to the development of peace in the previous year," Jagland said.
"Who has done more for that than Barack Obama?"
Aagot Valle, a left-wing Norwegian politician who joined the Nobel panel this year, also dismissed suggestions that Obama was undeserving of the honor.
"Don't you think that comments like that patronize Obama? Where do these people come from?" Valle said from the coastal city of Bergen. "Well, of course, all arguments have to be considered seriously. I'm not afraid of a debate on the Peace Prize decision. That's fine."
World leaders have reacted positively to Obama's Nobel in most cases, the committee said, with much of the criticism coming from the media and Obama's political rivals.
"I take note of it. My response is only the judgment of the committee, which was unanimous," Jagland said.
In announcing the award Friday, the committee, whose members are appointed by the Norwegian Parliament, applauded the change in global mood brought by Obama's calls for peace and cooperation. They also praised his pledges to reduce the world stock of nuclear arms, ease U.S. conflicts with Muslim nations and strengthen the U.S. role in combating climate change.
The White House declined comment on the Nobel judge's latest statements.
However, Obama expressed surprise and humility at Friday's news conference, saying the prize should be considered not a "recognition of my own accomplishments, but rather as an affirmation of American leadership on behalf of aspirations held by people in all nations."
Nobel Peace Prize selections have often been surrounded by fierce debate. Controversial awards include the 1994 prize shared by Palestinian leader Yasser Arafat and Israeli leaders Shimon Peres and Yitzhak Rabin for Mideast peace efforts, as well as the joint prize to Secretary of State Henry Kissinger and North Vietnamese negotiator Le Duc Tho for a 1973 cease-fire agreement. The Vietnam War continued for two more years.
So the Nobel jury "expected that there would be a discussion" about Obama's award, said Kaci Kullman Five, a former Conservative Party parliamentarian and longtime Nobel committee member.
Valle said the criticism shouldn't overshadow important issues raised by Obama's Nobel.
"Of course I expected disagreement and debate on ... giving him the prize," she said. "But what I want now is that we seriously raise a discussion regarding nuclear disarmament."

世界の「飢餓人口」最悪の10億人 FAO、金融危機で深刻化

直江兼続の密状(共同)

 【ジュネーブ=藤田剛】国連食糧農業機関(FAO)は14日、金融・経済危機によって世界の食料不足が一段と深刻化したとする報告書を発表した。十分な栄養を取れない「飢餓人口」は2009年に過去最悪の10億2000万人に達すると訴えた。危機で低所得国の購買力が一段と低下し、食料購入が困難になっていることが主因。農業への投資が減り、生産が伸び悩んでいることも食料不足につながっているという。
 飢餓人口は1990年代には8億5000万人以下に減少したが、その後はじりじりと増加し、09年は前年比11%の大幅増となる見通し。
 飢餓人口を地域別に見ると、6億4200万人のアジア・太平洋が最も多く、全体の半分以上を占める。アフリカ中・南部の2億6500万人がこれに続く。
 FAOは11月16〜18日、ローマで「食料サミット」を開き、先進各国に低所得国への援助や生産国への投資拡大を要請する方針だ。 (19:13)

世界の新規株式公開、新興国の存在感高まる

 世界の新規株式公開(IPO)市場で新興国の存在感が高まっている。今年1〜9月のIPOによる企業の資金調達額上位10社のうち中国が8社を占めたほか、残る2社にブラジル、インドが入り、新興国勢が独占した。IPOによる全体の調達額でアジア(オセアニア含む)は前年同期比70%の大幅増となった。先進国に先行する景気回復や株価の持ち直しを背景に、新興国が世界の資本市場を厚くしている。
 調査会社ディール・ロジックによると、9月末時点で今年最大のIPO案件は7月に上場した建設大手の中国建築工程で、73億4200万ドル(約6600億円)を調達した。第2位は中国冶金科工(51億3000万ドル)、第3位はビザネット・ブラジル(42億5800万ドル)だった。 (18:00)

国交相、国際線は成田中心「変わらず」 発言トーンダウン

 前原誠司国土交通相は14日夕、羽田空港の見直しについて「24時間国際空港化を進める。成田空港と一体運営していく」と述べた。千葉県の森田健作知事と会談した後、国交省内で記者団に語った。羽田は国内線、成田は国際線という役割分担についても「(成田が国際線の中心である状況は)変わらない」として、維持する考えを示唆した。「羽田を国際ハブ空港にする」との前日までの発言は大幅にトーンダウンした格好だ。 (17:27)

民主新人議員、地元回りや勉強に汗 政権交代1カ月

 民主党による政権交代から16日で1カ月。鳩山内閣が公約で掲げた「脱・官僚主導の政治」に向け急速にかじを切る中、143人の民主新人議員は衆院選での疲れをよそに、地元回りや勉強会を慌ただしくこなす。ただ、新政権の政策や党運営にかかわる機会はまだなく、有権者に政策を説明するにも四苦八苦。「議員になった実感がない」と戸惑う声も聞こえる。
 「衆院選ではお世話になりました」。13日早朝、京成線お花茶屋駅(東京・葛飾)前。元葛飾区議の早川久美子衆院議員(38)は通勤客一人一人に頭を下げ、地元区議とともに民主党への支援を重ねて訴えた。 (16:49)