温室ガス、農水分野で7.9%削減可…でも30兆円必要

2009年12月1日7時30分
 温室効果ガスを2020年までに1990年比25%削減する鳩山政権の目標に対して、農林水産省は削減幅の約3分の1に当たる7.9%分を農林水産分野で引き受けることができるとの中間試算をまとめた。ただし、実現のためには「金に糸目は付けない」のが前提で、最低でも30兆円が必要だという。 農水省地球温暖化対策本部が予算的な制約を無視し、現在の技術をフル活用した場合を想定した。
 最も効果があるのは、温室効果ガスの「森林・農地土壌での吸収」(3.2%)。次いで「再生可能エネルギーの活用」(2%)、「農林水産業や食品産業での排出削限」(1.7%)、「バイオマスの活用」(0.5%)、「木材利用による省エネ効果」(同)と続く。
 費用の細かな内訳は明らかにしていないが、たとえば、「土壌での吸収」で3.2%分を実現するには、間伐や間伐のために必要な小規模な林道整備などに資金がかかる。「再生可能エネルギー」では、農山や漁村地域の住宅への太陽光パネル設置や、水田地帯に張り巡らされた小さな農業用水路でのミニ水力発電の実施を例示している。
 このほか、全国1万5千隻のイカ釣り漁船の集魚灯を発光ダイオード(LED)に替えたり、家庭の食品廃棄物から発生するメタンガスを燃料として使ったりする案も挙げている。
 政府の行政刷新会議事業仕分けでは、多くの事業、予算がムダ扱いされた農水省。巻き返しのため、温暖化対策での貢献をアピールしようという意図も読めるが、厳しい財政事情のなかで実現の道は険しそうだ。(安川嘉泰)