「天平の甍」荘厳な姿 唐招提寺金堂、「平成の大修理」完工

 奈良市唐招提寺で、約10年にわたった金堂(国宝)の解体修理「平成の大修理」が完工し1日午前、落慶法要が始まった。秋晴れのもと「開扉開眼の儀」が営まれ、約1000人が参列。装いを新たにした「天平の甍(いらか)」を仰ぎ見た。
 午前9時半、僧侶らの行列が金堂に歩み寄ると金堂正面の扉が静かに開き、堂内に鎮座する本尊の盧舎那仏坐像が姿をのぞかせた。松浦俊海長老が本尊に向かって大きな筆を振ったのを合図に、屋根両端に新調した鴟尾(しび)の覆いが取り払われ、色とりどりの散華が参列者の頭上に舞った。
 金堂が完成したのは8世紀末。大規模な解体修理は明治時代以来およそ100年ぶりで、2000年から本体工事を進めていた。本尊や千手観音立像など、堂内の国宝の仏像9体も並行して修理した。 (20:05)

厚労相、たばこ1箱600円想定? 「欧州並み」増税に言及

京都御所特別公開(共同)

 長妻昭厚生労働相は1日のフジテレビ番組で、たばこ税の増税について「健康への問題もある。諸外国、欧州並みの金額にする必要があるのではないかという発想がある」と述べた。増税の目安として、日本で1箱300円程度のたばこの価格を、先進国平均の600円程度に引き上げるよう求めたものだ。
 厚労省は2010年度税制改正でたばこ税の増税を要望した。厚労相は番組出演後、記者団に「諸外国の価格も参考にしながら金額の議論を進める必要がある。政権交代をしたから、これまでの枠にとらわれずに判断したい。財務省を含めた内閣全体の判断になる」と語った。
 たばこ税を巡っては、鳩山由紀夫首相も「増税という方向がありうべしかなと思う」との方針を表明している。 (20:29)

落語家の三遊亭円楽さん死去 20年以上「笑点」で司会

 情感あふれる話芸で知られ、20年以上にわたり人気テレビ番組「笑点」の司会者として親しまれた落語家の三遊亭円楽(本名吉河寛海)さんが29日午前、肺がんのため東京都中野区の自宅で死去した。76歳。東京都出身。葬儀は近親者のみで行い、後日お別れの会を開く予定。喪主は妻和子(かずこ)さん。
 1955年に六代目三遊亭円生さんに入門し、62年の真打ち昇進を機に五代目円楽を名乗った。「笑点」の大喜利メンバーとして「星の王子様」の愛称で人気を集め、落語家タレントのブームをつくった。博学、映画好きで、師匠譲りの芸域の広さを誇った。得意演目は「中村仲蔵」「藪入り」など。
 78年、真打ち制度の在り方をめぐり、円生さんとともに落語協会を脱退。円生さんの死後は弟子たちを率いた。85年に自前の寄席「若竹」を開設したが約5年で閉鎖した。
 2005年に脳梗塞で倒れ、06年に「笑点」を降板。07年2月に東京・国立演芸場で口演した「芝浜」を最後に引退を表明し、第一線から遠ざかった。弟子の楽太郎さんに「円楽」を襲名させることを表明していた。07年に旭日小綬章
19:42

日銀、3年連続の物価下落予想 11年度には2・1%成長 

 日銀は30日の金融政策決定会合で2011年度の見通しを初めて示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめた。11年度の全国消費者物価指数の前年度比上昇率はマイナス0・4%と3年連続で物価下落が続くと予想する一方、国内総生産(GDP)の実質成長率は11年度には2・1%まで回復すると展望した。
 日銀は10年度半ばごろまで「経済の持ち直しのペースは緩やかなものになる可能性が高い」と判断。決定会合後に記者会見した白川方明(しらかわ・まさあき)総裁は「極めて緩和的な金融環境を維持する。日本経済を粘り強く支えていく」と述べ、超低金利政策を続けて「出口戦略」を急がない考えを示した。
 白川総裁は回復が続く理由として「世界経済が緩やかに持ち直す中、国内経済も輸出を起点とする企業の回復が家計に波及してくる」ことを想定しているとした。
 展望リポートでは、09年度の成長率予測はマイナス3・2%まで落ち込むものの10年度はプラス1・2%まで回復すると予測。いずれも7月時点の見通しより0・2ポイント上方修正した。
 白川総裁は、11年度には実質成長率が「(経済の実力を示す)潜在成長率を明確に上回ってくる」と述べた。
 消費者物価は、09年度がマイナス1・5%、10年度がマイナス0・8%を予測。下落幅が縮小していくことから、白川総裁は「やや長い目で見れば物価安定のもとで持続的成長に復す」とし、物価下落が景気悪化を招くデフレスパイラルの懸念に反論した。
20:53

バラエティー番組、民放連が指針づくりを BPO提言へ

23時55分
 NHKと民放でつくる放送倫理・番組向上機構BPO)の放送倫理検証委員会は30日、バラエティー番組制作にあたって制作者が留意すべき実務的な指針をつくるよう日本民間放送連盟に提言することを決めた。規範や倫理からの逸脱が特徴の一つであるバラエティー番組に倫理上のルールを求めるのは異例だ。
 委員会の中にも「表現の自由」の観点から慎重論が根強くあった。だが、性的表現やいじめ、差別と受け取れる表現などに視聴者の抗議が相次いでいることを重視し、指針を求めることに踏み切った。
 民放の多くは、民放連の倫理規定「放送基準」に従って番組をつくっている。だが、この「放送基準」には、報道番組には1章をあてて規定を設けているものの、バラエティー番組に関してはまとまった規定がなかった。
 委員会は、放送基準とは別に、バラエティー番組に特化した新たな指針をつくるよう来月半ばまでに求める。川端和治委員長は「バラエティー番組が表現の自由の幅を広げてきたことは生かしつつ、厳しい指摘に対応することが必要」と話した。(赤田康和)

「世界がオバマ氏を助ける必要」 ノーベル賞委員長会見(1/2ページ)

3時1分
 【ストラスブール(仏東部)=土佐茂生】ノーベル平和賞を選考するノルウェーノーベル賞委員会のヤーグラン委員長が30日、当地の欧州評議会朝日新聞のインタビューに応じた。今年のオバマ米大統領への授賞について「2、3年後では手遅れになる。オバマ氏一人では何もできない。世界が彼を助ける必要があると考えた」などと授賞の経緯を語った。オバマ氏の実績への評価だけではなく、同氏が目指す世界の実現を後押しする狙いがあったことを明らかにした。
 平和賞候補の推薦は毎年2月に締め切られるが、今年2月時点でオバマ氏は大統領に就任したばかりだった。ヤーグラン氏は「大統領選挙戦のころから、彼の言葉や考えに注目していた」と話し、最初の選考委員会での候補者絞り込みで、まだ実績のないもののオバマ氏を残したと説明した。
 通常は選考会議を5、6回開き、9月には受賞者を決めるが、今回は7回開いたという。特に10月に入って2回会議を開くという異例の措置をとった。ヤーグラン氏は「9月末の、オバマ氏主宰の国連安保理での核問題に関する首脳会合は歴史的だった」とし、授賞へ「決定打」の一つになったことを示唆した。
 委員5人のうち3人がオバマ氏への授賞に反対だったとの報道があったことについては「最後は全会一致で決定した」と述べた。全委員が、米国が混迷するアフガニスタン情勢に深くかかわっていることに懸念を持っていたが、「アフガンは全世界の問題で、オバマ氏に押しつけるべきではない」との意見が出たという。
 12月の同賞授賞式が、国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)や、米ロの核軍縮条約交渉がヤマ場を迎える時期と重なることについて「もちろん意識していた」と語り、オバマ氏の政策に弾みをつける効果も考慮したことを明かした。
 オバマ氏への授賞には「まだ実績がなく言葉だけだ」との批判も出た。ヤーグラン氏は「言葉を侮ってはいけない。言葉は時に人に希望を与え、その希望が物事を良い方向に変える」と反論した。
 ◇
 ノーベル賞委員会(ノルウェー)のヤーグラン委員長との主なやりとりは次の通り。
 ――今年のノーベル平和賞には世界が驚きました。
 米国大統領を選べば論争になると分かっていた。しかし、オバマ氏は世界の問題の解決に新しい道筋を示した。それを支持したかった。
 ――「早過ぎる」という批判がありました。
 授賞を2、3年後に延ばせば手遅れになる。オバマ氏一人ですべての事ができるわけではない。世界のすべての人が助けなければならない。
 ノーベルの遺志では、その1年間にもっとも平和に貢献した人に賞が贈られる。それはオバマ氏だ。「オバマ氏は言葉だけだ」と言う人もいるが、言葉を過小評価してはいけない。言葉は時に危険だが、時に人に希望を与え、その希望が物事を良い方向に変える。
 ――候補者の推薦締め切りはオバマ氏の大統領就任直後。「当初、リストにオバマ氏はなく、委員長が同氏を入れた」と報じられました。
 まったくの間違いだ。推薦者を明かすことは禁じられているが、オバマ氏は推薦リストに入っていた。我々はオバマ氏の大統領選挙戦の時から、彼の言葉や考えに注目していた。
 ――委員のうち3人がオバマ氏に反対した、との報道もあります。
 真実ではない。いろんな議論があり、最後は全会一致で決めた。長いノーベル平和賞の歴史のなかで、最も難しい決定ではなかった。
 ――アフガニスタン問題は今や「オバマの戦争」と言われています。委員会ではどんな議論がありましたか。
 アフガンについては、全委員が懸念した。ある人は「アフガンは米国だけの問題だ」との印象を語った。しかし、アフガンは全世界の問題だ。「アフガン問題をオバマ氏に押しつけるべきではない」との意見もあった。
 ――ほかに懸念材料は。
 現職の米大統領に与えることも懸念した。しかし、論争にもならない人ばかりに授与すれば賞の価値は減じる。過去、最も賛否が分かれた授賞が最も成功している。ソ連ゴルバチョフ大統領への時は「委員会は狂った」と非難されたが、我々は正しかった。
 ――平和賞の授賞式がある12月10日は、地球温暖化の国際交渉や米ロ核軍縮交渉が佳境の時期です。
 もちろん、それは意識していた。二つの交渉が頓挫することは大問題だ。オバマ氏は二つの問題に対して具体的な提言を行っており、それを我々は支持したかった。

パナソニック、年内に三洋を子会社化 5日からTOBへ

3時52分
 パナソニック三洋電機経営統合独占禁止法に触れないかどうかを事前審査していた中国の商務省が30日、統合を認めることを公表した。パナソニックは11月4日に取締役会を開き、5日から三洋株の公開買い付け(TOB)を始めることを決定する。TOB成立は確実で、年内に三洋の子会社化が実現する。
 両社は昨年11月に経営統合を発表したが、充電池分野で合計シェアが高まりすぎることから、各国の独禁法に基づく事前審査が長期化していた。
 TOB開始は5日で、TOB価格は、30日の三洋株価の終値(228円)より42.5%安い1株131円。三洋の大株主である三井住友銀行、米ゴールドマン・サックス大和証券SMBCの金融3社はすでに発行済み株式の計50%相当をパナソニックに売却する契約を結んでおり、TOBの成立は確実だ。
 TOB費用は3社からの買い取り分だけで約4千億円。株式の30%を握る一般株主からの応募状況によっては、さらに増加する可能性もある。(和気真也、上栗崇)