日銀、3年連続の物価下落予想 11年度には2・1%成長 

 日銀は30日の金融政策決定会合で2011年度の見通しを初めて示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめた。11年度の全国消費者物価指数の前年度比上昇率はマイナス0・4%と3年連続で物価下落が続くと予想する一方、国内総生産(GDP)の実質成長率は11年度には2・1%まで回復すると展望した。
 日銀は10年度半ばごろまで「経済の持ち直しのペースは緩やかなものになる可能性が高い」と判断。決定会合後に記者会見した白川方明(しらかわ・まさあき)総裁は「極めて緩和的な金融環境を維持する。日本経済を粘り強く支えていく」と述べ、超低金利政策を続けて「出口戦略」を急がない考えを示した。
 白川総裁は回復が続く理由として「世界経済が緩やかに持ち直す中、国内経済も輸出を起点とする企業の回復が家計に波及してくる」ことを想定しているとした。
 展望リポートでは、09年度の成長率予測はマイナス3・2%まで落ち込むものの10年度はプラス1・2%まで回復すると予測。いずれも7月時点の見通しより0・2ポイント上方修正した。
 白川総裁は、11年度には実質成長率が「(経済の実力を示す)潜在成長率を明確に上回ってくる」と述べた。
 消費者物価は、09年度がマイナス1・5%、10年度がマイナス0・8%を予測。下落幅が縮小していくことから、白川総裁は「やや長い目で見れば物価安定のもとで持続的成長に復す」とし、物価下落が景気悪化を招くデフレスパイラルの懸念に反論した。
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