道路の新規着工、原則凍結 一般会計、最大の90兆円超 

 政府は15日、2010年度予算編成の概算要求再提出を締め切った。国土交通省が道路の新規着工を原則凍結し、公共事業費を麻生政権下の09年度当初予算に比べて14・2%削減。ただ、各省庁は2兆2554億円の子ども手当創設などマニフェスト政権公約)に掲げた新規政策を盛り込んだため、一般会計総額は09年度の88兆5千億円を超え、過去最大の90兆円台半ばに達する。
 鳩山由紀夫政権で初の予算編成は、暮らしを重視し「コンクリートから人へ」の予算配分の転換を鮮明にしたが、税収の落ち込みなど財源難は深刻。首相は同日、赤字国債の大量発行への国民の反発が強まれば、公約実施を一部断念する可能性があるとの見解を明らかにした。
 首相はまた「新規はマニフェストのみ。それ以外の部分は前年度(09年度当初予算)以下と頑張ってもらっている」と強調。地方交付税の大幅上乗せや「エコポイント」の継続など公約以外の政策要望も相次いだが、調整がつかずに金額を明示した要求をやめ、検討を年末に先送りした。
 要求に盛り込まれた公約政策の経費は少なくとも計4兆円を超えた。財務省法務省はこの日の公表を見送っており、政府は全容を16日に明らかにする。
 国交省は道路整備について「原則、新規事業は行わない」とし、新規着工路線を決める事業評価の在り方を根本的に見直す考えを明記。同省の要求額は高速道路無料化の試行経費6千億円を盛り込み、2・6%減の6兆1943億円だった。
 厚生労働省は、子ども手当を含め14・8%増の28兆8894億円を要求。文部科学省は公立高校の実質無償化で4624億円を要求に盛り込み、農林水産省も農家の戸別所得補償制度のモデル事業で新たに3447億円を計上したため、いずれも省全体の要求額は増えた。国交省のほかに減額したのは外務省などわずかにとどまった。
 地方交付税交付金などは一般会計からの繰入額が5・2%増の17兆4337億円、自治体への配分額では0・3%減の15兆7773億円。財務省は経済緊急対応予備費(本年度1兆円)の計上は見送ったが、利払いなどの国債費が22兆円弱に達したもようだ。
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