出雲大社、大屋根ふき替え

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 約60年ぶりに大改修をしている島根県出雲大社本殿で15日、檜皮葺(ひわだぶき)の大屋根の解体が始まった。約590平方メートルの檜皮を約1カ月かけてはがし、早ければ10年末にもふき替えを始める。使われる檜皮は規格外。未知の作業に熟練職人たちが挑む。 午前9時15分すぎ、「葺師(ふきし)」と呼ばれる職人10人が、高さ24メートルの足場の上で作業を始めた。檜皮はヒノキの樹皮で、竹のくぎで固定されている。葺師が最上部の檜皮にバールを差し込み、めくるようにしてはがしていった。
 作業の中心となる岡山市の児島工務店によると、9月に屋根の一部を解体したところ、檜皮の長さは90〜120センチで、通常サイズの75センチと規格が違うことを確認した。このため、ふき替え作業は通常の2倍の時間がかかり、職人4人が1日でできる作業は3.3平方メートル程度とみる。
 同社の葺師、西裕之(ひろゆき)さん(51)は「大社のふき替えは一生に一度。未来の職人に見られても、恥ずかしくない仕事をしたい」と意気込む。
 現在の本殿は1744年に造営された。08年4月には、ご神体を仮の住まいに移す仮殿遷座祭(かりでんせんざさい)が59年ぶりに開かれ、改修後の本殿にご神体を戻す本殿遷座祭は13年5月の予定だ。総事業費として80億円が見込まれている。(高橋健次郎)