JR西前社長が現金手渡し 国鉄OBに 公述人応募の謝礼

 尼崎JR脱線事故をめぐって国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時)が2007年2月に開いた意見聴取会の公述人に応募するようJR西日本が働き掛けていた問題で、謝礼10万円を支払った国鉄OB2人のうち、鉄道関係の社団法人会長を務める男性(78)が15日、取材に応じ、依頼は山崎正夫前社長から受け、現金も山崎氏から直接受け取ったことを明らかにした。
 山崎氏は事故調委の元委員から07年6月公表の最終報告書の案を入手したことが既に判明。当時の社長自らが関係者への接触を繰り返していたことが浮き彫りになった。
 このOBによると、06年12月ごろ、山崎氏からの連絡で会った際に依頼を受けた。過密なダイヤが事故の一因と指摘されていたことに対し、利便性向上とダイヤ編成の重要性について話してほしいと頼まれ、承諾した。
 しかし公述人には選ばれず、07年2〜3月ごろ、すし店で再び会い、10万円を受け取った。食事代も山崎氏が支払った。山崎氏は「苦労掛けたのに申し訳ない」と話していたという。OBは「JR西から頼まれて応募したのは軽率だった」と話した。
 現金を受け取っていたもう一人の男性(87)も15日、取材に対し、山崎氏から電話で依頼を受け、承諾したことを認めた上で「自分では申し込み手続きをしていない。JR西が申し込んだのだろう」などと話した。現金は郵便為替で受け取ったという。
 JR西は2人への現金について「資料作成など応募にかかる手間に対する謝礼として渡した」と説明している。
 一方、山崎氏が公述人となるよう依頼したとされる井口雅一・東大名誉教授(74)は「働き掛けがあったかどうか記憶に残っていない。金品の授受は絶対ない」と話した。井口氏は公述人として聴取会で意見を述べた。
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