私立高学費滞納、1校あたり14人「最も深刻な状況」

7時50分
 経済的な理由で私立高校の学費滞納が相次いでいることが30日、全国私立学校教職員組合連合の調査で分かった。1校あたり約14人が学費を払えない状態だった。小村英一中央執行委員長は「98年に調査を始めてから最も深刻な状況」と話し、国や都道府県に授業料減免などの緊急対策を求めた。
 9月末現在で私立高校の4分の1にあたる328校から回答があった。学費を3カ月以上滞納している生徒は4587人で全体の1.70%。前年同時期の1.47%より悪化した。滞納比率を都道府県別に見ると、青森が5.91%で最も悪く、次いで岩手5.07%、大阪4.10%、愛媛3.14%の順だった。全般的に東北地方の滞納率が高かった。
 北海道では、授業料の減免か奨学金を受けている生徒がクラスの7割を占める高校があるという。教員からは「連帯保証人を頼めず、奨学金も申請できない家庭がある」という声が寄せられた。
 また、「母子家庭でパートを掛け持ちして働いても追いつかない家庭がある」(千葉県)のほか、「学業よりも家計を助けるアルバイトに追われている」(神奈川県)とする意見もあった。小村委員長は「滞納を放置すると中退する生徒が急増しかねない。来年度からは高校無償化が始まるが、それでは間に合わない。早急な手当てを求めたい」と話した。(見市紀世子)