印タタ自動車の低価格車「ナノ」、発火事故相次ぐ

 【ニューデリー=黒沼勇史】世界最安車として7月に納車が始まったインドタタ自動車の超低価格車「ナノ」で、発火事故が起きていることが分かった。死傷者は出ていないが、運転席付近から火が噴く事故が20日までに印国内で3件発生。21日に事故を報じた現地メディアは「全車共通の問題でなくリコール(回収・無償修理)はしない」という同社関係者のコメントを伝えた。
 事故は北部ウッタルプラデシュ州と西部グジャラート州で各1件報告され、20日夜には首都ニューデリーで3件目が起きた。いずれも自宅などで駐車中に発火した。同社は1、2例目の原因をスイッチ結合部の回路のショートだと分析。納車前や納車済みのナノについて安全性を調査するとしているが、今後の受注拡大計画が大幅に遅れる可能性が浮上してきた。
 ナノは最も安い装備で、価格は1台約11万ルピー(約22万円)。4人乗り小型車で、助手席側のバックミラーなどを省いてコストを抑えている。既に7500台を納車、10万台を受注済み。 (12:35)