核廃絶行動計画で合意 国際賢人会議

 核廃絶への道筋を示す報告書策定のため広島市で最終会合を開いた賢人会議「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)」は最終日の20日、全世界の核兵器を2025年までに大幅に削減することなどを柱とした行動計画で正式合意した。会合後、川口順子、エバンズ両共同議長が記者会見で発表した。
 両議長は、削減の目標数について「現在より大幅に少ない数」とだけ説明し、「(日豪両政府の)首相にまず報告したい」として具体的数値は明らかにしなかった。
 広島会合前にまとめた報告書最終草案は、削減目標を「千発以下」としていたが、一部核保有国の異論もあり断念、目標数を引き上げた。ある委員会関係者は共同通信に「現存する核の9割削減」と言及しており、現在世界に約2万発の核があることから、2千発前後に設定したとみられる。
 川口氏は合意した削減目標数が、核兵器解体施設の処理能力なども踏まえた「現実的で野心的な数字」としているが、当初の目標から後退したことで、高齢化が進み「生あるうちの核廃絶」に望みを寄せる被爆者らから反発の声も出そうだ。
 報告書は、短期(12年まで)、中期(25年まで)、長期(25年以降)の3段階に分け、各段階の具体的行動計画を盛り込み、核廃絶への工程表を提示。短期には、核保有の「唯一の目的」は他国の核使用の阻止にあるとする核戦略の採用や、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効などを盛り込んだ。
 同委員会は、11月中に報告書の最終調整を終え、来年1月に報告書を正式発表する。
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