ゴールドマン純利益2870億円 シティは利益大幅減

21時29分
 【ニューヨーク=丸石伸一】米金融大手2社が15日、09年7〜9月期決算を発表した。ゴールドマン・サックス投資銀行業務が好調で3四半期続けて黒字を確保。シティグループも同じく3四半期連続で黒字を保ったが、不良債権処理費用が重荷になって、4〜6月期より利益は大幅に減少。政府が持つ優先株への配当などの費用を差し引くと赤字になった。
 ゴールドマンの7〜9月期は、純利益が31億8800万ドル(約2870億円)で、事実上の前年同期にあたる08年6〜8月期の約3.8倍に急増。アナリストの予想も上回った。4〜6月期に続き、債券や為替、商品市場に関連した取引の手数料収入が伸び、この部門の収益が、前年同期の約3.8倍にふくらんだ。
 ロイド・ブランクファイン会長兼最高経営責任者は「世界経済はなお厳しい事態に直面しているが、状況は改善し、安定化する兆候がみられる」としている。
 ゴールドマンは今年6月、受け入れていた公的資金100億ドル(約9千億円)の全額を米政府に返済。大手の中でも業績回復で先行している。
一方、シティは1億100万ドル(約90億円)の純利益を計上し、前年同期の28億1500万ドル(約2500億円)の赤字から黒字に転換した。個人向け融資などで貸し倒れに備えた引当金の積み増し額が90億9500万ドル(約8200億円)と前年同期並みにとどまったため、かろうじて黒字を確保し、アナリスト予想も上回った。
 ただし、黒字額は09年4〜6月期の42億7900万ドル(約3850億円)と比べると98%少ない。公的資金を受け入れるときに米政府に発行した優先株の配当などの費用を差し引き、「普通株への配当の元手」としての損益でみると、32億4200万ドル(約2900億円)の赤字になった。
 シティは、大手では最大の公的資金450億ドル(約4兆円)を受けているうえ、米政府が普通株を最大34%取得。「公的管理」に入り、突出した政府支援を受けている。公的資金を完済した他社に比べて、業績面でも回復の遅れが目立っており、さらなる経営改善が求められそうだ。